残高証明書をもらうときの注意点
相続税申告をする際には、ほぼ必ず申告することとなる預貯金。各金融機関で残高証明書を発行してもらい、記載された残高を財産に計上して申告することになります。(名義預金という論点もありますが、今回は省略します。)
そこで、残高証明書を発行してもらう時のポイントを書きます。
相続開始日現在のものを発行してもらう
日付ですが、相続開始日(お亡くなりになった日)のものを発行してもらいます。たまに、事前に残高証明書をご自身で取得される方がいますが、窓口に行った日付のもので取得されているケースがあります。このケースでは、せっかく事前に取得に行ったにもかかわらず、もう一度相続開始日のものを取得することになり、時間とお金の無駄になってしまいます。
定期預金は既経過利息の金額を計算してもらう
普通預金以外の定期預金や定額貯金などがある場合は、既経過利息の金額の記載されているものを発行してもらいます。既経過利息とは、利払日から相続開始日までに発生している計算上の利息のことです。残高証明書に記載されない場合は、既経過利息計算書を発行してもらいます。相続税の申告では、定期預金や定額貯金は既経過利息を含んだ金額で計上するルールになっています。最近の低金利では、非常に少ない金額ですが、一応ルールがあります。
金融機関にある口座すべての残高証明書を発行してもらう
被相続人の家からA銀行の普通預金の通帳が見つかって、残高証明書を発行してもらうときは、普通預金の残高証明書だけではなく、A銀行すべての残高証明書を発行してもらうようにしましょう。もし、A銀行に普通預金以外の把握していない定期預金や貸金庫などがあった場合には、A銀行すべての残高証明書を発行してもらわないと、財産の計上漏れになってしまいます。キーワードは「A銀行すべての」です。このキーワードを必ず伝えるようにしましょう。
税務署は、金融機関に照会をかけて、A銀行に存在するすべての口座を調べあげてきます。さらには、過去10年分の口座の履歴も調べて預金の入出金の流れを調べます。この点については名義預金について記事で改めて詳しく書きたいと思います。
旧姓のまま残っている口座も確認をしましょう
ケースとしては少ないかもしれませんが、結婚前の旧姓のままで名義変更し忘れてそのまま残っている口座があります。女性では、たまにこのケースがあります。旧姓での口座がないかも確認するようにしましょう。
まとめ
残高証明書を取得するときは、
- 相続開始日(お亡くなりになった日)のもの
- 定期預金や定額貯金は既経過利息も含める
- その銀行にあるすべての口座のもの
- 女性の場合は旧姓のものが無いか
に注意して効率よく、漏れの無いように取得しましょう。