
※お客様から税理士試験の合格祝いに頂いたチョコレート、感謝です(^.^)
1次相続では相続税0円だが...
最近聞いた話の中で、法人の社長が亡くなり、社長の息子さんがいつも接している顧問の税理士さんに相続税申告をお願いしたところ、「配偶者に全財産を相続させれば相続税はかかりませんよ。」ということで、その内容で相続税申告をしたそうです。
ところが、数年後に社長の奥様が亡くなり、息子様が再び、いつもの税理士さんに相続税申告をお願いしたところ、想定外の多額の相続税がかかりそうだと。
社長、奥様、息子様1人を前提にしています。
この話、まさか本当にあるとは思いませんでしたが、あるようです(T_T)
この税理士さんは、最初の相続だけを考えて、社長の奥様が亡くなる2次相続のことまでは考えていなかったのでしょう。
社長が亡くなり、奥様が相続する時には、財産額1億6千万円か法定相続分(奥様と息子様が相続人なら1/2)までは、確かに奥様については相続税を0円にできます。これを配偶者の税額軽減といいます。
しかし、それだけで奥様に全財産を相続させると、奥様が亡くなった後の2次相続では、息子様に多額の相続税がかかることになるのです!
2次相続では配偶者の税額軽減は無い
上記のケースで、奥様が亡くなった2次相続では息子様の多額の相続税がかかることになるのが通常です。
奥様が亡くなった2次相続においては、配偶者はいないため、減税効果のめちゃめちゃ大きい「配偶者の税額軽減」という制度が使えないからです。
社長死亡時の1次相続で、社長の全財産が奥様のものになり、奥様のもともとの財産+社長の全財産が、奥様死亡時の2次相続の段階で、息子様にダイレクトに相続税がかかってくるという恐ろしい状況です(゚Д゚;)
1次相続で、配偶者の税額軽減を使って申告しているため、残念ながら時すでに遅し。
2次相続まで考えて財産分けをしよう
上記のケースでは、2次相続まで考えて財産分けをしなかった事が原因です。
1次相続で奥様が相続する財産、息子様が相続する財産については、2次相続までのトータルの税額を参考にして決めていくべきだと思います。
もちろん、税額だけではなく、被相続人の思い、相続人のライフプランを軸に考える必要もあります。
自宅は誰が今後住むのか、売却するのか、社長亡き後の奥様の生活費はどの程度必要か、老人ホームなどの施設に入るのか、息子様が介護をする可能性があるのか、社長の事業は引き継ぐのか、廃業するのか等、考えるべきことは多岐にわたります。
生前から、社長亡き後の事について、相続人を含めて話し合い、相続税の事のみならず、方向性を固めていくことが重要です。